■ 第70回 共犯者にされそうになったら・・・
私が以前勤めていた会社で、
駐車違反を繰り返している先輩がいました。
後1回やったら点数が本当にヤバイ・・・
という状況なのに、
その先輩はまたもや
駐車違反をやってしまいました。
警察に出頭すれば、間違いなく免停です。
営業職だったので、
車が使えなくなるのは
非常にマズイ事態です。
その先輩は上司に相談しました。
上司というのは、
私に顔面キックを
くらわした人なんですが(笑)。
(バックナンバーの68号を
参照してください)
その後、上司は私を呼び出しました。
そして、
「伊東君、君、
免許はマニュアルだよな?」
「●●くんが駐禁とられたんだけど、
免停の危機なんだ」
と延々と繰り返しました。
遠まわしに
「お前、代わりに出頭しろ」
と言っているのが明白でした。
私は当然、
気づかないふりをしてやり過ごしました。
「はあ、大変ですねえ・・・」
上司は明らかにイラついていましたが、
ひたすらとぼけてやり過ごしました。
はっきりと
「身代わりになれ」
といわなかったのは、
バレたときのことを考えての
ことだと思います。
その先輩には世話になりましたが、
だからといって
警察に身代わり出頭してもいい
という話にはなりません。
最近騒がれた食品偽装ほど
悪質ではなくても、
このように「完全に犯罪」の指示が
上から来ることは結構あります。
対処法ですが、
「遠まわしの指示ならとぼける」
「はっきりとした指示なら拒否する」
これしかありません。
報復で社内評定を下げられたりする
かも知れませんが、
罪人になるよりはマシです。
どうしても拒否できない場合、
上の事例だったら
「私が代わりに出頭すれば、
●●さんは免停を免れるんですか?」
と聞いて、上司から
「そうしてくれると助かるな~」
といった発言を引き出しておくと
良いでしょう。
会話は当然録音です。
最近は携帯電話のICレコーダー機能も
かなり使いやすくなってきたので
お勧めです。
携帯電話をいじっていても
不審に思う人はまずいませんから、
こっそり録音には最適なのです。
こういった会話の録音を残しておけば、
「上司が実質的に指示した」
という証明が後からやりやすくなります。
少なくとも、
「明らかな犯罪行為なのに黙認した」
ということになります。
上司の上司に訴えれば、
責任を免れることはできません。
ただ、失脚のメカニズムでも触れましたが、
勢いがある相手には通用しません。
相手が弱ったときに
追い討ちをかける方法として
使うと効果的です。
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■ 編集後記
結局、駐禁を取られた先輩が
どうなったかというと・・・
免停になってしまいました。
代理のいけにえは
見つからなかったようです。
これが一番、妥当な結末ですよね。
追記:「駐車違反の身代わり出頭」
ですが、その後、
大手運送会社でも
組織的に行われていたことが分かり、
大問題に発展しました。
2,016年9月に発覚した事件です。
某大手運送会社が、
組織的に駐車違反の出頭者に
身代わりを立てていたのです。
身代わりは、
同じ運送会社のOBなどに
頼んでいました。
つまり、飛脚を出頭させる代わりに
飛脚OBを出頭させた、
というわけです。
飛脚は、ふと思いついたフレーズなので
特に意味はありません。
運転手の処分を免れるため、
OBを代役に立て、
身代わり出頭・・・
免停処分が致命傷になる業界では、
もみ消したくなるのも分かります。
しかし、もみ消したくなるからといって
本当にもみ消したら、それは犯罪です。
この事件では、何と逮捕者が6人も出ました。