役員は残業代をもらえないの? 失業保険.comメルマガ

■第91回 役員は残業代をもらえないの?

引き続き、偽装管理職の話題です。

この問題は関心が高まっているようですね。


前回記事:

店長は管理職?


各地で訴訟が起きていますし、

私のところに寄せられる質問でも

 

「~という状況なのですが、

私は偽装管理職

にあたらないのでしょうか?」

 

と聞かれてくる方が増えました。

役員 残業代
肩書きが役員でも、残業代が出ることは多いです。

さて、前回労働基準法上の管理職として、

「役員」や「工場長」をあげました。

 

では、役員という肩書きが付いていれば、

残業は関係ないのでしょうか?

 

当然ですが、そんなことはありません。

 

労働基準法の保護を受けない役員は、

経営側と利害が

一致している必要があります。

 

具体的には、経営方針の策定に関わったり、

人事権を掌握しているといった具合です。

 

そして、例え役員という

肩書きがついていたとしても、

こういった権限が与えられていない場合は

労働基準法上の役員とはいえません。

 

役員兼使用人といった人は、

いわゆる「肩書きだけの役員」

という扱いになります。

 

労働基準法上、

こういった人たちは管理者ではなく、

残業代の請求権があります。

 

つまり、役員という肩書きが

重要なのではありません。

 

経営側と利害関係を等しくし、

大きな権限を与えられて、

初めて

「労働基準法上の役員(=管理職)」

なのです。

 

役員ともなれば、

どう考えても「管理職」

だと思われるのが普通です。

 

しかし、役員という肩書きが

付いている人ですら、

労働基準法上の定義にあてはめてみると

「管理職」ですらないことが多いのです。

役員 残業代
役員ではないので、残業代出るのか

ましてや、店長・係長を管理職扱いして

残業代を全カットするなど、

法律を拡大解釈し過ぎです。

 

最近、店長といった肩書きの方が

各地で残業代を求めて

訴訟を起こしているのは、

とうとうそのトリックに

気づかれてしまったからに

他なりません。


関連記事:

管理職でももらえる残業代


 

■ 編集後記

私のところに寄せられる質問で、

「~という状況なのですが、

私は偽装管理職に

あたらないのでしょうか?」

と聞かれて来る方が増えた・・・

と書きました。

 

では、実際にどの程度の方が

偽装管理職に該当したのでしょうか?

 

全員、偽装管理職でした。

 

ご相談いただいた方の中には、

肩書きが「役員」の方まで

いらっしゃいましたが、

その方も勤務実態を聞いてみると

労働基準法上の管理職からは

外れていました。

 

「本当の役員」ほどの立場になれば

会社を離れることなど考えませんから、

私にそんな相談はしないという

事情もあります。

 

ということで、

これを読まれていらっしゃる方で、

「自分は偽装管理職ではないのか・・・?」

という疑問を持たれている方。

 

ほぼ100%の確率で、偽装管理職です。

 

2.Q&A

Q.役員でも、残業代をもらえることがある、

と聞いて驚いています。

 

役員というのは、経営側ですから、

残業代とは無縁なのではないでしょうか?

 

どのような理屈で、

役員が残業代をもらえるのか気になります。

役員が残業代をもらえる理由
役員が残業代をもらえる理由とは?

A.確かにおっしゃる通り、

一般的なイメージでは、

役員=経営側の人間

です。

 

しかし、これはあくまで

一般的なイメージとして正しい

だけの話です。

 

労働基準法では、

役員という肩書きがあることと、

会社側の人間であることは、

全く関係ありません。

 

同じように、

仮に会社の登記簿に

役員として記載されていたとしても、

それで即、

労働基準法上でも役員として

認められる、

ということも一切ありません。

 

実際は、単なる訴訟担当として

役員として名前が登録されている

人もいるのです。

 

労働基準法上では、

役員かどうか?は

実質的な権限で判断します。

 

役員としてふさわしい人事権や、

報酬などを、

実際に得ているかどうか?

という実質的な権限や待遇で

判定するのです。

 

この基準で判定した結果、

肩書きが役員であっても、

実質的には従業員に属する、

と判定されることが少なくありません。