営業職は残業代をもらえない、は大間違い 失業保険.comメルマガ

■第96回 営業職は残業代をもらえない、は大間違い

サービス残業を強いられてきた人たちが、

残業手当を求めて

勤務先を訴えることが増えています。

 

訴えるのは、いわゆる

「偽装管理職」

と呼ばれる方々が中心となっています。

 

一方、残業代が出ない典型的な職業として

営業職があります。

営業職の労働時間と残業代
営業職の労働時間と残業代。算出困難ではあるが・・・

多くの会社では、

「営業手当が残業代代わりなんだから」

といって、

営業職には残業代を支給していません。

 

これは、「事業場外労働」というのが根拠になっています

(労働基準法38条の2第1項)。

 

簡単にいうと、

 

「外での仕事は、

実際に働いた時間が算定しにくいです」

 

「だから、所定労働時間だけ

働いたことにしましょう」

 

というルールです。

 

といっても、

無制限に残業させてもいい・・・

わけでは当然ありません。

 

1.管理者が同行している場合

 

2.携帯電話などで

随時上司の指示を受けながら

営業活動している場合

 

3.訪問先や時間の具体的指示を受けていて、

その通りに行動していた場合

 

などは、「労働時間が計算しづらい」

ということはありませんので適用されません。

 

(3.については、

最後に事務所に戻ることが必要です)

管理職が同行 残業時間
管理職が同行している場合、残業時間はカウント可能

ということは、残業代を請求しようと思ったら・・・

 

例えば、

 

「上司に、逐一携帯電話で

営業活動を報告」

 

しておけば良い、

ということになります。

 

仕事に対する熱心さの表れか、

と思っていたら、

残業代請求の準備だった・・・

というのは、なかなか皮肉がきいています。


関連記事:

役員は残業代をもらえないの?

管理職でももらえる残業代

実践!残業代請求


 

■ 編集後記

今回お話したような方法で

残業代を請求するなら、

 

「上司に逐一報告している」

「指示を仰いでいる」

 

という証拠を残しておく必要があります。

 

ここが一番の壁になります。

 

例えばメールの送信記録だけだと、

なかなか証拠としては採用されにくい

のが現実です。

 

タイムカードなどと違い

「これ」という決定的な方法はありません。

 

弱い証拠でも複数集めていくことで、

主張の信頼性を強くしていく

という方針でいくしかないでしょう。

 

2.Q&A

Q.営業職をしています。

営業職でも、指示報告をしながらであれば、

「労働時間を管理されている」

ということで残業手当の支給対象になる、

と書かれていますね。

 

私が勤めている会社では、

営業中に逐一報告が求められます。

 

その意味では、残業代の支給対象に

なるのは間違いないかと思います。

 

しかし、会社としては、

「営業手当に残業代を含んでいる」

という考えを崩すことは一切ありません。

 

一度聞いてみたのですが、

営業職は残業時間を

正確に計算するのは難しいので、

営業手当を残業代として支給している、

という回答でした。

 

とはいえ、

支給されている営業手当の金額は、

微々たるものです。

 

時給になおすと、

たぶん、15時間分の給料にしか

該当しないと思います。

 

もちろん、実際の残業時間は

これよりもはるかに多いです。

 

月によってばらつきはありますが、

30時間は普通。

 

繁忙期には、60時間を超えることも

珍しくありません。

 

こうなると、

「営業手当を出している」

「営業手当は残業代の代わり」

「だから残業代は支給済」

という会社の回答はおかしいのでは?

と思えてなりません。

 

我慢するしかないのでしょうか?

営業職の残業代
営業職の残業代をごまかされている気がする

A.ご質問のケースの場合、

残業代は、

「実際に労働した時間分」

もらうことができます。

 

根拠は、

すでにご質問に書かれている通り、

「営業中であっても、

上司に逐一報告しているから」

です。

 

この場合は、

営業職によくある

「正確な労働時間の把握が難しい」

という理由が成り立ちません。

 

よって、

「一律、一定額の残業手当を支給する」

という会社の措置は間違っています。

 

しかも、さらにまずい点がありますね。

 

それは、支給されている営業手当が、

実際の残業時間に比較して

「著しく低い」点です。

 

実際に残業している時間の

4分の1~半分しか支給されていない、

というのは少額すぎます。

 

仮に残業時間の正確な把握が

難しい職場であっても、

あまりにも実際の残業時間と

みなし残業代の差が大きいと、

「会社が残業代逃れをしている」

と見なされます。

 

ご質問者様の会社は、

ふたつの意味で

「本来払うべき残業代を支払っていない」

といえるでしょう。