■第97回 失業保険に税金はかかってくるのか?
求職中の身には、
失業保険は貴重な収入です。
賃貸住宅を持っていて家賃収入があったり
株を保有していて配当が入る、
という人もいるかも知れませんが、
そんな人はごく一部。
多くの人は、会社を辞めたら
失業保険に頼って生活せざるを得ません。
ところで、収入ということは、
もらった失業保険に対して
所得税や住民税を払わないと
いけないのでしょうか?
これは、払う必要はありません。
失業保険で得たお金に
税金をかけることは法律上、
明確に禁止されています。
(雇用保険法第12条)
では、失業保険をもらっている
=収入0かというと、
そんなに単純な話でもありません。
退職後、
「扶養に入ろう」という場合は
失業保険は収入と見なされます。
しかも実際は
失業保険を3ヶ月しかもらえない場合でも、
1年間受け取った扱いにされてしまいます。
この基準で失業保険を年収換算して
130万円以上になる人は、
扶養に入ることができません。
失業保険は、短い人だと
90日で支給が終わってしまいます。
実際にもらえる金額は、
年間130万円にはほど遠いですよね。
どの程度の額の失業保険をもらえば、
扶養に入れなくなるかというと・・・
その分岐点はだいたい、
失業保険の日額3,600円くらいのラインになります。
これ以上もらっている方は、
自分で国民健康保険に加入する
しかありません。
同じ失業保険ですが、
分野により取り扱いが異なります。
ややこしいですね。
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■ 編集後記
ちなみに自己都合退職をした後、
3ヶ月の給付制限期間は
扶養に入ることができます。
この期間は失業保険の支給がなく、
無収入と見なされるからです。
これもややこしいことになっていますが、
無料で健康保健に加入できる期間ですから、
是非とも使い倒してください。
2.Q&A
Q.このたび、会社を退職しました。
失業保険をもらう予定でしたが、
退職後に届いた
国民年金保険料と国民健康保険料の
請求額が高すぎて、
「失業保険をあきらめて、
扶養に入った方が得じゃないか?」
と思い始めています。
失業保険をもらうと、日額が4,500円程度です。
これだと、扶養に入れる収入の範囲を
軽く超えてしまいます。
よって、失業保険をもらうと、
扶養に入ることができません。
一方、夫の扶養に入れば、
月1万6千円の国民年金保険料と、
月2万7千円の国民保険料を
払わなくて済みます。
自己都合退職しましたので、
失業保険をもらえるのは、
4ヶ月後からになります。
どうすれば、
一番出費をおさえて
得になるのでしょうか?
A.どうすれば最も得か?
は明確にすることができます。
まず、時期を3つに分割します。
1.失業保険をもらえない受給制限期間
2.失業保険をもらっている期間
3.失業保険をもらい終わった期間
では、順番にどう動くとよいのか解説しますね。
1.失業保険をもらえない受給制限期間
この時期は、ためらいなく扶養に入りましょう。
国民年金保険料、国民健康保険料、
両方の支払いから逃れることができます。
失業保険をもらう予定だといっても、
実際にもらい始めるまでは、
扶養に入ってはいけない、
ということはありません。
ここを勘違いして、
失業保険がもらえない、
3ヶ月の受給制限期間にも
扶養に入ることをためらう方が
いらっしゃいます。
しかし、それは勘違いです。
遠慮なく申請してください。
次に、2番目。
2.失業保険をもらっている期間
ですね。
失業保険の日額が3600円弱より
少なければ、
失業保険をもらいつつ、
扶養にとどまり続けることができます。
失業保険を365日もらい続けたと
仮定したときに、
年収130万円未満のラインになるのが
この1日3600円という金額なのです。
ご質問者様の場合、
1日の失業保険が4500円とのことですから、
失業保険をもらっている期間は
扶養から外れる必要があります。
では、最後の
3.失業保険をもらい終わった期間
です。
これは、1.の
1.失業保険をもらえない受給制限期間
と変わりません。
つまり、扶養に入り直すのが、もっともお得です。
このように、
「失業保険をもらっている期間
【だけ】
扶養から外れる」
のが最もお得になります。