■ 第115回 なし崩しに解雇されないための予備知識
先日、
「派遣切りにあった労働者の7割が、
派遣元からも解雇される見通し」
という報道がされました。
これは、考えてみれば不思議な話です。
というのは、契約期間中に
派遣先から契約を打ち切られた場合でも、
派遣元には次のような義務が残るからです。
・新しい派遣先を見つける
・見つからない場合、
派遣元が同等の条件で就労させる
・それも無理な場合、残りの契約期間中、
休業補償(6割以上)を支給する
これを見ると、
「派遣先を解雇されたから、派遣元も解雇」
というのは全くおかしな理屈であることが
お分かりいただけると思います。
新たな派遣先を探すことも、
最初から放棄。
派遣元で雇うことも、
もちろんやる気なし。
仕事がない派遣社員に
給料を支払うことなど言語道断、
ということで、
もちろん6割の休業補償も
支払いません。
最後に残る結論は、
「やってもらう仕事がないから、
辞めてもらおう」
です。
こうして、
派遣【先】企業での仕事がなくなった
だけなのに、
派遣【元】企業からも追われてしまう、
という派遣社員が続出しています。
このような辞めさせ方は、
不当解雇にあたりますので、
多くの方が
当たり前のように会社を追われるのは、
本来なら犯罪、大問題です。
しかし、この問題。
一部では疑問視されましたが、
結局のところ、
大きな動きにはなりませんでした。
なぜかというと、派遣会社の側が、
うまく「法令違反にならない条件」
を満たしてから、
派遣社員を解雇していたからです。
その手口を、今から説明しましょう。
こういった「なし崩し解雇」は多くの場合、
派遣先と派遣元の契約を解除する合意書に
サインするように求められます。
これにサインしてしまうと、
後から文句を言っても
なかなか覆すのは難しいのが
正直なところです。
この合意書には、
「本来、派遣会社は
あなたを雇い続ける義務がある」
「しかし、お互いの話し合いで、
辞めることに合意した」
と証明する効果があるからです。
辞める側の派遣社員が、
「実は、辞めなくてもいい」
ということを理解していたかどうか?
は関係ありません。
実際のところは、
理解していた派遣社員の方は
ほとんどいないのでは?
と思われます。
派遣先との契約が
中途解除になったからといって、
派遣元を当然解雇になるわけではない、
ということは
覚えておかれるとよいかと思います。
関連記事:
改正雇用保険法、施行&派遣社員が、失業保険をすぐもらえるように
■ 編集後記
派遣元がこのような無茶をするのにも
それなりに理由があります。
それは、
「派遣先企業に、違約金を請求しにくい」
ということです。
本来は支払われるのが筋なのですが、
請求すれば得意先を失うのでは?
という懸念があり、
負担を派遣労働者の方に
押し付けているのが現状です。
支払いの原資がないので払えない、
というのも理解できる面はあります。
しかし、生活の基盤をいきなり奪われる側は
たまったものではありません。
なし崩し的な解雇が
これからも増えると思いますので、
自己防衛はしっかりしましょう。
■ 第116回 健康保険料を安くする
お勤めの方であれば、
健康保険料は毎月天引きになっている
かと思います。
この健康保険料、
どうやって決まるかご存じでしょうか?
おおざっぱには、
毎年4~6月に支給された給料の額
に応じて決定されます。
つまり、この期間に長時間残業をするなどで
給料が高くなると、
その分健康保険料が高くなってしまう
デメリットがあります。
ここで気をつけていただきたいのは、
「4~6月分に支給された給料」
であって、
「4~6月分に働いた分の給料」
ではない点です。
「4月~6月にもらえる給料が、
いつ働いた分か?」
を意識しておけば、
健康保険料が予想外に跳ね上がるのを
防ぐことができます。
関連記事:
■ 編集後記
会社を辞めた後しばらくは、
在職時の収入に基づいて
健康保険料の請求が来ます。
辞める予定がある方は、
こういったことも視野に入れて
立ち回ってください。