非正規だから保険なし、に納得してはいけない 失業保険.comメルマガ

■ 第136回 非正規だから保険なし、に納得してはいけない

2010年4月1日から、

雇用保険法が改正されました。

 

大きなトピックは、

「雇用保険に入れる対象が大きく拡大した」

ことです。

雇用保険の加入範囲が拡大
雇用保険の加入範囲が拡大

具体的には、

「31日以上働く見込みがある」

場合に雇用保険に

加入できるようになりました。

 

今までは「半年以上働く見込みがある」でした。

 

例えば、3ヶ月契約だと

当初は雇用保険に加入できませんでした。

 

じゃあ契約更新したら

雇用保険に加入させていたかというと、

あやふやになっていたのが実情です。

 

結果として、例えば

「3ヶ月更新で3年働いていたが、

雇用保険に加入させてもらっていなかった」

という人が続出して問題になっていたのです。

雇用保険未加入
雇用保険未加入に後から気付いて、呆然

そうした事態を避けるために、

今回「31日以上」に改められたわけですね。

 

これだと、

日雇いや労働時間が極端に短いなどの場合を除いて、

雇用保険に加入できるようになります。

(日雇いの方の場合は、

別の制度があります。

ですので失業したときの備えが全くない、

というわけではありません)

 

今現在、

6ヶ月未満の契約期間で

働かれている方は

雇用保険の加入を

会社に打診してみましょう。

 

大企業でもない限り、

会社側が法改正自体を知らないことも

多いですから。

 

法改正を知らず、未だに

「きみは非正規だから、雇用保険はないよ」

という経営者も多いのでしょうが、

それに納得してはいけません。


関連記事:

失業保険をもらうには雇用保険に加入

失業保険をもらうために必要な雇用保険加入期間

雇用保険への加入条件が大幅に緩くなる


■ 編集後記

 

今回の件に関連して、

退職時の情報を

ネットで集めるときの注意点を書きます。

 

ネット上の情報に限りませんが

「法改正によって正しかった情報が

間違った情報に化ける」

ことは多いです。

 

書店の本などは古くなれば

順次消えていきますが、

ネット上の情報はいつまでも残るので

被害を被りがちです。

 

無料で情報を集めるのは結構ですが、

その情報が「いつ書かれたものか」

は必ず確認しないと

後でひどい目に遭うことになります。

 

2.Q&A

Q.雇用保険の加入について教えて下さい。

 

新しい会社に入社して、今は試用期間です。

 

今のところ、雇用保険を初め、

社会保険には加入させてもらっていません。

 

試用期間が終わって、

正式に正社員になった後に加入させる、

と会社から説明を受けています。

 

試用期間は、3ヶ月。

少し長くなる可能性もあり、

その場合は半年だそうです。

 

何となくおかしいと思ってネットで調べると、

試用期間であっても、

各種保険への加入資格はあることを

知りました。

 

上司は、

「就職したばかりだから、

保険料を引かれるのも大変だろう」

と言います。

 

確かに保険料の天引きがないのは魅力ですが、

それでいいのか?

後から何か支払いをさせられるのではないか?

という不安が消えません。

 

どうしたらいいでしょうか?

雇用保険 加入 試用期間
雇用保険への加入は試用期間終了後だ。

A.まず、会社の措置は違法です。

 

書かれている通り、

雇用保険や厚生年金、健康保険は、

入社1日目から加入します。

 

これは、会社が雇った社員を

「加入させる義務がある」

ので、会社の判断で

「試用期間は加入させない」

という措置をとることは許されません。

 

この時点で、お勤めの会社は

法律を知らないか、

知っていてとぼけています。

 

主な目的は、厚生年金や健康保険の

保険料の節約でしょう。

 

厚生年金や健康保険の保険料は、

半分を会社が負担します。

 

この負担額が会社にとって大きいため、

余裕がない会社はあの手この手で

加入を遅らせようとするのです。

 

雇用保険料にも会社負担がありますが、

雇用保険料はもともと金額が小さいため、

「支払いのがれのメインターゲット」

にはなりません。

 

なお、上司の方が説明した

「天引きがない方がいいだろう」

という理屈もムチャクチャです。

 

会社で厚生年金や健康保険に加入しなければ、

個人で保険料を支払え、

という請求が来るだけの話です。

 

天引きがなくても、結局は支払うことになるので、

加入しないことにメリットなどありません。

 

会社にとっては、繰り返しますが

健康保険と厚生年金の保険料の

会社負担分を逃れる、

というメリットがあります。

 

このような会社は、

社員を使い捨てと考える体質のところが多い、

というのが実情です。

 

はっきりいうと、

見切りをつけるかどうか、

を考えた方がよいでしょう。

 

長期間勤めたところで、

報われる可能性は低いです。