■ 第142回 年金保険料、強制徴収へ
厚生労働省と財務省が、
年金保険料の滞納をしている者に対して、
強制徴収を行っていく方針を発表しました。
国税庁の協力を得て行うもので、
この秋にもスタートする見込みです。
税金を取るプロフェッショナルが
協力するということで、
給与や預金の差し押さえを
平気でやってくるようになるでしょう。
さて、どういった人が
強制徴収の対象になるのでしょうか?
・厚生年金・・・
滞納2年分以上かつ滞納額1億円以上(会社が対象)
・国民年金・・・滞納2年分以上かつ本人か
連帯納付義務者の
直近の年間所得1,000万円以上(個人が対象)
私はこれを見た瞬間、
「働く気ないだろ」
と突っ込んでしまいました。
しかも、厚生年金・国民年金ともに
「財産を隠匿している」
「督促状を無視している」
という条件も満たしている必要があります。
つまり、何億円も未納していても、
全く財産がなかったり
年金機構に相談に行っていれば
強制徴収は行われません。
よほどのお金持ちで、
意図的に年金保険料を納めていない人以外は
対象外になるでしょう。
どうも、仕事をしているポーズにしか見えません。
年金保険料を滞納している人は、
今後「強制徴収しますよ!」
という圧力がかかってくる
可能性が高いですが、
どうせほとんどの人は対象外です。
※2017年現在、
このようなのんきなことは
言っていられなくなりました。
下記
「2.2017年現在、年金保険料の強制徴収範囲が拡大中」
にお進みください。
関連記事:
■ 編集後記
国民年金保険料と国民健康保険料。
延滞するとまずいのはどちらでしょうか?
これは、圧倒的に健康保険料の方です。
年金保険料は本編でも書いたように、
ほぼ強制徴収が行われることはありません。
一方、健康保険料の方は
小額でも預金の差し押さえなどを
平気でやってきます。
■ 編集後記2
健康保険料が小額でも
強制徴収に踏み切ってくるのは、
法律で決められているからです。
年金保険料の方は、
法律で「督促することが『できる』」
と決められています。
つまり、強制徴収を行うことは強制されていません。
「してもよい」ぐらいのニュアンスです。
(今回、例外的に
『しなければならない』
条件が定められました)
一方、健康保険料は
「督促しなければならない」
と決められています。
この違いがあり、
延滞するとマズいのは
圧倒的に健康保険料の方です。
2.2017年現在、年金保険料の強制徴収範囲が拡大中
2017年現在、
国民年金保険料の未納者に対する
強制徴収の範囲が拡大中です。
上記では、
収入が1,000万円を超える個人でないと、
国民年金保険料の
強制徴収の範囲になりませんでした。
しかし、
未納されていた国民年金保険料の
回収があまりはかどらなかったようで、
国はどんどん対象者の範囲を
広げています。
2017年には、
所得が300万円以上で、
国民年金保険料を未納している者に
強制徴収を行っていく、
という方針を固めています。
所得300万円ですから、
年収から税金や健康保険料を引いた額です。
扶養家族の数にもよりますが、
だいたい年収450万円あたりから対象でしょうか。
もちろん、子供の数が多い、配偶者が働いていないなど、
扶養家族の数が多い場合は、
もっと高い年収であっても、
所得300万円を切りますから、
国民年金保険料の強制徴収対象からは外れます。
制度を導入した当初の所得1,000万円からすると、
ずいぶんと対象者が増えてしまいました。
幸いなことに、
年金保険料の回収に国税局が協力する、
という当初の制度は実現していません。
国民年金保険料の未納分に関しては、
民間業者に委託して、
督促状を送付したり、
督促の電話をかけたりしています。
とはいえ、国税には及ばないものの、
民間業者による督促の激しさは、
以前の「未納のお知らせ」
の比較になりません。
民間企業は、結果を出さないと
仕事がなくなるため、
恐ろしい頻度で督促電話をかけ続けてきます。
包囲網は、どんどん狭まっているのは
否定できない事実です。