うつ病にかかる人は年々、
猛烈な勢いで増えています。
うつ病以外にも、
病気やケガで会社の業務が
遂行できなくなるといった事態は、
誰にでも起こりえます。
このような場合、多くの人は
「会社にいつづけると
迷惑がかかるから辞めよう」
と考え始めてしまいます。
しかし、病気やケガになったから
といって、
退職を第一に考える必要は
ありません。
多くの会社では、
病気やけがで仕事を十分に
こなせなくなった場合に
利用できる
休職制度を設けているからです。
これは、仕事が原因で
病気になったりケガをした
といった場合に認められる
労災とは全く別物ですので
注意してください。
私生活が原因で
病気やケガになった場合は
「私傷病」といって
仕事での病気・ケガである労災とは
全く別物です。
さて、もし
うつ病などの病気やケガで
仕事をこなせなくなった場合、
第一に考えるべきなのは
こうした休職制度を
利用することです。
会社の就業規則によって
何年休めるのかは
変わってきますが、
多くの会社では1年から2年は、
仕事を辞めずに
療養に専念することが
認められているからです。
休職している間の生活費ですが、
これは会社が賃金の一部を
支払ってくれることがあります。
これも就業規則次第ですが、
中には全額支払ってくれる
という会社もあるのです。
会社が休職中の給与を
支払ってくれない場合であっても、
全くの無収入
というわけではありません。
健康保険制度に、
傷病手当金という給付金があります。
傷病手当金を利用すれば、
賃金の3分の2を最長で
1年半もらい続けることが可能です。
こういった制度を使い倒して、
職場復帰を目指しましょう。
■定年退職
定年だから、辞めるしかない・・・
定年退職というと、
昔はめでたいイメージが
ありました。
しかし、今は定年したからといって
すぐに年金がもらえる
わけではありません。
仮に60歳で定年となった場合、
年金を受給できる65歳までを
いかにして生き延びるか・・・
という問題が出てくるのです。
この年金受給開始年齢は、
国が「当たり前のように」
引き上げを繰り返しており、
すでに67歳までの引き上げは
決定済み。
遠くないうちに70歳にまで
引き上げられるのは確実です。
また、年金そのものの額が
少なくて、
それだけではとても
生活していけないといった問題も
生じており、
定年退職後にいかにして
収入を得るか、
という問題は
ずっとつきまとうといって
よいでしょう。
さて、このような事態を受けて、
国は再雇用制度の整備を
進めています。
この制度を支える法律は、
高年齢者雇用安定法といいます。
この法律で、60歳定年退職者は、
会社が―定の採用基準を設け、
65歳まで再雇用することが
義務づけられています。
定年退職になっても
引き続き働くことを
希望する場合は、
会社に再雇用してもらうように
持ちかけてみましょう。
なお、再雇用制度は、
あくまで
「いったん退職して、
改めて雇用関係を結び直す」
主旨の制度です。
改めて雇用関係を結び直す以上、
以前よりも給与や待遇、
役職などが悪くなっても、
それは仕方ないと
あきらめなければなりません。
なぜ、国が
「定年を引き上げなさい」
ではなく
「再雇用しなさい」
という制度設計をしたのかという
と、高い給料のまま
定年を引き上げると
会社が持たないからです。
結果的に、
年金の支給開始時期を
平然と引き上げていく
国の尻ぬぐいを、
民間企業に押しつけている形に
なっています。
これが許されるのだから、
恐ろしい話ですね。