どうしても有給休暇が消化できない場合 失業保険をもらうまでのスケジュール5

1.どうしても有給休暇が消化できない場合

退職するときの有給休暇

の取り扱いについて、続きです。

 

前回は、

下記のようなことを説明いたしました。

 

・退職するときは有給休暇の消化は当然可能

 

・会社が「取得は認めない」などということは、

それこそ認められない

 

・有給を「自主的に放棄」させようとする

誘導に乗ってしまうと、100%損するし、

かなりの確率で後悔することになる


詳しくは、前回の記事

残った有給休暇はどうなるの?

をご覧ください。


 

以上から、「退職にあたって残っていた有給休暇は、遠慮なくまとめて取るべき」

という結論を出しました。

 

しかし、引き継ぎなどの関係で

どうしても有給を全部消化できない場合もあります。

 

有給休暇を全部消化しようと思ったら、

通常1ヶ月かかる引き継ぎを

1週間で終わらせなければならない、

といった場合ですね。

引き継ぎ
引き継ぎの挨拶回りが終わらない・・・

この場合、最も合理的なのは単純に

「退職日を延ばす」

ことです。

 

会社に辞めると言った後は、

まず退職日を決めてから

それから引き継ぎ担当を決める・・・

という流れになります。

 

言い換えると

「引き継ぎがどのくらいかかるか考えずに

退職日を決めている」

ことが多いわけで、

後々不具合が出てくることは結構あります。

 

この場合、気をつけていただきたいことがあります。

 

「引き継ぎが終わらないなら、

有給消化中でも出社してくるべき」

という訳が分からない理屈に

乗せられないことです。

有給消化
有休消化を邪魔する上司にだまされないでください

引き継ぎをダシに

「有給消化を邪魔する」

のはありがちな手口ですので、

そのような陳腐な手段に乗せられてはいけません。


どうしても有給休暇が消化しきれない場合は、

最後の手段があります。

詳しくは

有給が残るときは買い取りを頼もう

をご覧ください。


 

2.Q&A

Q.退職予定の者です。

 

業務を後任者に引き継ぎ中なのですが、

まだ終わらないうちに、

最終出社日が近づいてきました。

 

最終出社日後は、有休消化に入る予定です。

 

ところが上司が、困ったことを言い出しました。

 

「引き継ぎが終わらないのに、

有休消化するのは非常識」

 

「就業規則に、退職時には

きちんと引き継ぎするように明記されている」

 

といった具合です。

 

要するに、

引き継ぎが終わるまでは有給を放棄しろ、

という事実上の強要です。

 

このようなやり口は認められるものなのでしょうか?

従わなければいけませんか?

 

A.「従う必要はない」というのが回答です。

 

退職時の有休消化は

トラブルの原因になりがちですが、

これは典型的なパターンですね。

 

まず、有休休暇を取得させない、

という権利は会社にはありません。

 

有給休暇を取る時期をずらすことを

「お願い」する権利はあり、

これを時節変更権といいます。

 

しかし、退職時には適用できません。

 

なぜかというと、退職するのですから

有給休暇を別の機会にずらすことが

事実上不可能だからです。

 

このため、

最終出社日が終わったら、

仮に引き継ぎが終わってなくても

有休消化に入ってしまっても、

何ら法的な責任は追及されません。

 

ただ、

法的に問題がないからといって、

そこまで強行するのはお勧めしません。

 

恨みを買うことになりますし、

狂った会社だと、

なぜか懲戒解雇にしてくるなど、

報復行動に出てくる可能性があるからです。

 

もちろん、

そういった懲戒解雇は根拠のないものですから、

出るところに出ればこちらが勝ちます。

 

しかし、手間がかかるのは事実ですし、

退職後まで面倒ごとを背負い込むのは避けたいと

多くの方は思うはずです。

 

上司に

「有給休暇を放棄させる権利は会社にない」

「有給休暇を全消化したいという希望は譲らない」

「引き継ぎは完全に行いたいと考えている」

と、こちらの希望を伝え、

退職日の調整を図るのが

最も無難な解決策です。

 

法律上、会社の主張が通らないことを

強調すれば、

無茶を言い続けることもないと思います。

 

上司の言っていることが、

無知から来るものなのか

有休取得を減らす目的で言っているのか

それは分かりません。

 

しかし、

こちらが理論武装していることを悟れば、

あまりにもムチャクチャな強要は

してこなくなります。

 

会社の外に話が行ってしまえば、

自分に勝ち目がないことぐらいは

理解しているからです。