失業保険をもらわない方がいい場合

1.失業保険をもらわない方がいい場合

退職したら、失業保険をもらって過ごしたい・・・
こう考える人は多いのですが、失業保険をもらわない方が結果的にはお得になる場合もあります。

あと1ヶ月遅く辞めればよかった・・・
あと1ヶ月遅く辞めればよかった・・・

それは、雇用保険の加入期間が失業保険が増える境目にある人の場合です。

以前、失業保険は入社5年目を境に大きく増えると書きました。
また、退職時の年齢が45歳を過ぎた場合も、失業保険の日数は大きく増えます。

このため、「雇用保険が大きく増えるタイミングが近いなら、そこまで待ってから退職しましょう」とお勧めしました。

しかし、事前にそこまで調べてから退職するタイミングを決めている人は決して多くありません。

雇用保険の加入期間が4年11ヶ月の時点で辞めてしまうこともあり得るわけです。

この場合、雇用保険の加入期間=4年11ヶ月で失業保険をもらうより、後1ヶ月雇用保険の加入期間を延ばしてからもらった方が支給される総日数は増えます。

 


 

失業保険がもらえる具体的日数と、支給日数が増えるタイミングは別の記事

失業保険は何日もらえる?

で詳しく解説しています。

ご自身の失業保険が何日支給されるか気になる方はご覧ください。


 

 

雇用保険の加入期間は、一度失業保険を受給してしまうとリセットされてしまいます。

例えば15年間の雇用保険加入期間があって、10日間だけ失業保険をもらって再就職したという場合、雇用保険加入期間は1ヶ月目から再スタートとなります。

せっかく積み上げてきた雇用保険の加入期間なのですから、もらうときには最大限に活用したいところです。

雇用保険の加入期間や、退職時の年齢が少し足りない場合は、雇用保険に加入させてもらえるアルバイトで加入期間を稼ぐという裏技があります。

アルバイトであっても、週あたりの労働時間や雇用期間のふたつの条件を満たせば雇用保険に加入できるからです。

また、退職時の年齢は、あくまで「直近の職場を辞めたときの年齢」で判定しますので、アルバイトを辞めた際の年齢で判定されます。

仮に44歳で会社を辞めてしまった場合でも、アルバイトを辞めたときの年齢が45歳に達していれば、もらえる失業保険が大幅に増える可能性があるのです(会社都合退職の場合)。

このように、「もう少し我慢すれば、失業保険をもらえる日数が大幅に増える」場合、ストレートに受給するよりも少し寄り道をした方が結果的に大きく得するのです。

 

2.あまり嬉しくない就業手当

アルバイトをした日も、もらえる手当があります。

これを就業手当といいます。

つまり、アルバイトをして得た報酬と、就業手当のダブルで収入をもらえるということです。

しかし、この就業手当、実施はあまり嬉しい物ではありません。

なんか少ない・・・
なんか少ない・・・

就業手当は失業保険の3割にあたる金額をもらえるのですが、それをもらうと、なんと失業保険の所定給付日数(何日失業保険手当をもらえるのか)がきっちり1日減ってしまうからです。

つまり、失業保険の0.3日分しかもらっていないのに、所定給付日数は1日分消滅してしまいます。

しかも、0.3日分よりも少なくなってしまうことがあります。

なぜかというと、就業手当には上限金額が設置されているからです。

金額は細かく改正されていますが、おおむね1,800円前後で推移しています。
この上限金額を超えた分は、全部カット、というわけです。

仮に1日あたりの失業保険の金額が6,000円だとしたら、4,200円がどこかに消えてしまう計算になります。

「こんな手当、いらないよ」
そう考える人も多いでしょう。

では、ハローワークに申告せずにアルバイトすればいいのでは?
と考えるところですが、それは認められていません。

申告することは義務づけられているからです。

それが嫌なら、就業手当がもらえなくなる期間を狙って集中的にアルバイトを行うのがよいでしょう。

というのは、就業手当が支給されるのは、「支給残日数が45日以上、かつ所定給付日数の3分の1以上残っている場合」に限られるからです。

 

3.内職すれば失業保険は全額支給

アルバイトをして就業手当を受け取ってしまうと、トータルでは損になる、というのが前回のお話でした。

しかし、この就業手当を避ける方法があります。

それは、「内職」をすることです。

内職=4時間以内のお仕事
内職=4時間以内のお仕事

内職というと、家の中で地味な単純作業をしているようなイメージですが、そうではありません。

ハローワークの定義で内職とは、単純に「1日4時間以内の労働」を指すからです。

つまり、世間一般では「アルバイト」と呼ばれる1日3,4時間のレジ打ちも、ハローワークに言わせれば「内職」なのです。

言葉のイメージにひきずられないように注意してください。

さて、この内職ですが、失業保険の支給にあたってどのような影響を及ぼすのかについて見ていきましょう。

内職の場合、1日あたりの報酬額が一定額以下に納まる場合、失業保険の金額が1円も減らされずに済みます。

この一定額とは、在職中の1日あたりの給料になります。

失業保険+内職で得た報酬の金額が、この1日辺りの給料×0.8以下であれば、失業保険の額が削られることはありません。

また、内職で得た報酬の額には控除額があって、1日あたり1,400円弱になっています。

少し数字をずらすと、次のような式が成り立ちます。

失業保険を減らされずに済む内職の報酬額=在職中1日あたりの給与額×0.8-失業保険+控除額1,400円弱

控除額は年度によって異なりますが、おおむね1,400円弱で推移しています。

注意点としては、1日4時間未満の労働であっても、週の労働時間が20時間以上になるようなら「再就職」と見なされる危険性があることです。

こうなると失業保険を打ち切られてしまいますので、内職といっても毎日やり続けるようなマネは避けて下さい。

 

4.まとめ

・雇用保険の加入期間で、失業保険をもらえる日数は大幅に増える。この間際で退職した場合、今回は失業保険を受給しない方が有利なことも。

・失業保険の受給中にアルバイトすると、就業手当も同時にもらえる。一見お得だが、金額が少ない上に失業保険の支給残日数も減らされるため、できれば避けたい。

・1日4時間以内の労働である「内職」なら、就業手当の対象外で、失業保険がカットされずに済む