1.退職後の年金は国民年金のみ
退職後は、国民年金に加入する義務が発生します。
健康保険と同じく、「失業中でお金がないから加入しない」という扱いは認められていません。
放置していると、自治体の方で勝手に加入手続きを取られてしまいます。
なお、任意継続という制度が認められている健康保険と違い、退職後の年金については国民健康保険以外の選択肢はありません。
国民年金保険料は、毎月1万5千円強。
失業中で、せいぜい失業保険ぐらいしか収入がない身にとっては、痛い出費です。
国民年金の保険料を払わずに放置していると、どうなるのでしょうか。
国民年金保険料の取り立ては、昔はたまに督促状が来る程度で、強制執行や差し押さえと言った強硬手段は執られてはいませんでした。
穏やかなものだったのです。
しかし、最近では、そうもいかなくなっています。
きっかけは、国民年金保険料の回収を民間企業に委託したことです。
民間企業は、回収率が悪ければ契約の更新をしてもらえません。
このため、かなりきつい取り立てを行うようになってきています。
とはいえ、現時点(2,016年)では、毎日のように督促の電話をする程度で実力行使には滅多に出ません。
2,014年の初頭に、特に年収が高い人を対象に預金差し押さえなどを実行しましたが、全体に対する比率としてはわずかなものでした。
しかし、現在は一般的な所得の人に対しても預金差し押さえなどの実力行使を行っていく方針を政府が示しています。
よほど、年金財政が窮迫しているのでしょうか。
理由はともかく、国がこのような強硬姿勢に出てきている以上、放置するのは好ましくありません。
国民年金保険料にも、国民健康保険同様、免除申請の制度がありますので、積極的に利用しましょう。
2.失業保険と税金
失業中の頼みの綱となる失業保険。
この失業保険、税金はどうなっているのでしょうか。
回答はシンプルで、失業保険には税金は一切かかりません。
失業保険だけではなく、再就職手当など、雇用保険関連の給付金の類いは無税となっています。
後から税金を請求されることはありませんので、失業保険に限って言えば全額生活費に使ってしまっても構わないといえます。
さて、それ以外に失業中の税金でおさえておくべき項目があります。
それは、「在職中に払いすぎていた所得税を還付してもらったか?」ということです。
理由は省きますが、サラリーマンは一般的に、所得税を毎月多めに支払っています。
この払いすぎた税金が還付されるのが、年末調整です。
しかし、会社を辞めてしまえば当然ですが、誰も年末調整を代行してはくれません。
自分で確定申告しなければ、払いすぎた所得税が還ってくることはないのです。
ただし、前の会社を退職してその年のうちに再就職できた場合は例外です。
この場合は、転職先の会社が年末調整をしてくれますので、必要書類を提出するだけで税金が還付されてきます。
必要書類は、源泉徴収票になります。
ちなみに、確定申告は一般的には2月16日から3月15日に行うこととされていますが、還付金の申請に限ってはこれ以外の期間でも受け付けてもらえます。
ただし、翌年からに限りますので、年を越して再就職が決まらなかった人は、年始の仕事として還付申請を行うのがお勧めです。
なお、確定申告というだけで面倒くさがってやろうとしない人がいますが、そのイメージは間違いです。
確定申告がややこしくなるのは収入源が複数あったり細かくお金が出たり入ったりする場合です。
要するに一般的な自営業です。
これに対してサラリーマンの場合、年間所得は源泉徴収票にすでに書かれていますから、確定申告の書類を作成するにあたって自分で計算をする項目もほとんどありません。
実際に作ってみれば、あまりにあっさり終わるので拍子抜けするでしょう。
3.まとめ
・退職後は、国民年金に加入することになる。
・国民年金保険に加入しない、という選択は認められていない。保険料を納付しないと、差し押さえなどの強硬手段がある
・失業保険には、税金はかかってこない。
・失業保険は無税のため、所得税の負担はゼロになる。
・年の途中で退職した場合は、税金を多く支払いすぎていることがほとんど。
・払いすぎた税金は、確定申告を行うことで戻ってくる
・税金還付のための確定申告は簡単。
・年が明ける前に再就職した場合は、転職先の会社で年末調整をしてもらえる