1.退職後の所得税
退職後は、
所得税も自分で確定申告して
支払っていくことになります。
(非課税の範囲で収まる場合は申告不要)
この項では、
退職後の所得税について見ていきましょう。
意外と混同している人が多いのですが、
収入と所得の区別を
まずしっかりつけておく必要があります。
よくある勘違いが、
所得と聞かれて
収入の額を答えてしまうパターンです。
会社からもらっている給与の額が
収入というのは正しいのですが、
所得は関連性はありますが別物です。
では、収入と所得は何が違うのでしょうか。
収入は、会社から出ていた給料や
国から支給される年金の金額そのものを指します。
所得は、収入から
控除やもろもろの経費を差し引いた後の金額
を指します。
つまり、収入-経費=所得というわけです。
では、どこまでの範囲が
必要経費として認められるのでしょうか?
自営業でしたら、
商品仕入れ、広告宣伝費、人件費と、
比較的算出は簡単です。
しかし、会社勤めの場合、
何が必要経費であるかと特定するのは
かなり難しいのが現実です。
会社に着ていくスーツやシャツ、
ビジネスバッグの購入費用代などが
サラリーマンとしての経費といえますが、
会社の経理が
いちいちそれらの必要経費を計算していたら
事務処理が大変です。
「では、勤め人は経費が一切認められない?」
いえ。
給与所得者の場合、
経費を一律で控除することが認められています。
この場合、実際に使った費用とは関係なく
一定の額が控除される扱いになっています。
これを、「給与所得控除額」といいます。
収入から必要経費(サラリーマンなら給与所得控除)
を引いた金額=所得。
その所得から、所得控除を差し引いたものが、
所得税の計算の基本となる金額です。
これを、課税所得といいます。
この課税所得に、
課税所得の金額に応じた税率
をかけて算出された額が、所得税額です。
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2.年末調整か確定申告か
サラリーマンをしていた頃は、
年末になると数万円のお金が
給与に上乗せされていたと思います。
これは年末調整といって、
1年間に払いすぎていた税金を
精算して差額が返ってきていたのです。
つまり、
【払いすぎていた自分のお金】
が返ってきていただけで、
別に臨時ボーナスが出ていたわけではありません。
年の瀬になると、
扶養控除中告書という書類が
会社から回ってきます。
そこに家族の名前や生年月日を記入し、
保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書に
配偶者の所得額を記入。
あれば
生命保険や損害保険
の証明書等を提出していました。
最初に書きましたが
毎月の給与から天引きされている
所得税の額は概算で、
正確な金額を算出の上、
精算を行なっていたのが年末調整です。
天引きされている所得税は、
多めになっているのが普通です
(だからこそ、精算すると返ってくるのです。
少なかった場合は徴収されます)。
ということは、
年の途中で退職してしまった場合、
そのまま何もしなければ
この払いすぎている税金は
返してもらうことができません。
詳しくは、別項目
をご確認ください。
退職後、
年内に再就職しなかった場合、
払いすぎた税金を返還してもらうには
確定申告をするしかないのです。
次に、確定申告の手順を見ていきましょう。
まず、
1月から12月までの収入を合計して
年間収入を出します。
なお、この収入には、
下記のような各種手当は含まれませんので
合算しないように注意してください。
●失業保険・・・失業保険は、所得税が課税されません
●退職金・・・源泉分離課税ですでに課税が済んでいますので、
あらためて申告する必要はありません
収入-必要経費=所得金額です。
所得金額から各種控除を差し引くと、
課税所得金額が算出されます。
課税所得に応じた税率をかけて出てきた額が、
税額です。
税額からさらに控除される額がありますが、
これらは見落としがちですのでしっかりチェックしておきましょう。
次の記事で、控除される条件を解説していきます。