1.自営を始めたら失業保険はもらえる?
「会社を辞めたのを機に、自営業を始めようと思います」
「売上がたつまで時間がかかるでしょうが、しばらくは失業保険で食いつなぎます」
ちょっと待って下さい。
自営を始めたら、失業保険をもらうことはできません。
仮に、自営を始めた後も失業保険をもらっていたとすれば、不正受給ということになります。
twitterなどを検索すると、冒頭のようなことを書いている人をたまに見かけます。
しかし、このようなことを誰でも見ることができるメディアに書くのは、犯罪自慢と同レベルの自爆です。
自営を始めると失業保険をカットされる理由は、失業保険をもらえない人たち3で詳しく解説していますので、詳しく知りたい方はご参照ください。
さて、自営業を始めてもすぐに収入になるとは限りません。
むしろ、最初はびっくりするほど収入が低い時期が続く可能性が高いです。
しかし、失業保険はもらえない。
「酷すぎる。こんなことだから、日本では起業家が育たないんだ」
と言いたくなるかも知れませんが、それは別の話です。
そういう方に、起業しても、失業保険をもらい続ける裏技をお教えいたします。
といっても、何も難しいことはありません。
「1日の労働時間を、4時間未満におさえる」あるいは、「収入額が、極端に低い」のどちらかを満たしていれば、失業保険を引き続きもらうことが可能です。
「極端に低い」収入額は、年齢によって異なりますが、日額2,000円がひとつの目安になります。
売上ではなく、利益です。
起業当初は、このぐらいの収入額もクリアすることは困難ですから、該当する人は意外に多いはずです。
ちなみに、この裏技が適用されるのは、「就職活動をきちんとしながら、合間をぬって自営的な仕事をしている」場合に限られます。
自営業に専念して、今後就職活動を一切しない、という意向であれば、失業保険は打ち切られてしまいます。
このあたりは、勘違いしてしまう人が多いので注意が必要です。
2.受給資格者創業支援助成金
前回、「自営を始めても、例外的に、失業保険をもらえる場合がある」と書きました。
しかし、あくまで就職活動の継続が前提であって、自営に専念する場合は該当しません。
これだと、自営業に専念しようと考えている人にとっては不公平感を感じるばかりの状態になります。
そこで、国は自営を始める人が対象の給付金を用意していました。
その給付金の名称は、「受給資格者創業支援助成金」といいます。
鋭い人は気づいたかも知れませんが、「給付金を用意していました」と過去形になっています。
つまり、すでにこの制度は終了しています。
平成25年の3月末日をもって、この制度は廃止となりました。
「廃止された情報なんかなぜ載せるんだよ、意味ないじゃないか」
そう思われた方がいらっしゃいましたら、申し訳ございません。
しかし、「受給資格者創業支援助成金はすでに使えない」という事実を伝えることも必要な情報提供であると判断したため、あえて書くことにしました。
昔に作られた失業保険関連のサイトを見ると、未だにこの事実を知らないのか面倒なのか、放置しているところが複数見つかります。
そのような「昔は使えたが、今はむしろ使うと有害」なサイトを信じて給付金をあてにして、起業早々に資金繰りが破綻したのではそれこそシャレになりません。
ネットで無料情報を探すのはお金もかからなくていいのですが、こうした古い情報が放置されたままになっていることは非常に多いのです。
その情報が、いつ書かれたものなのか?という視点は常に持っておくようにしたいところです。
3.まとめ
・自営を始めると、仮に売上ゼロの状態でも失業保険の支給は終了する。
・しかし、一定の条件を満たしていれば、失業保険を引き続きもらうことができる。
・上記の場合であっても、自営に専念してしまうと失業保険の支給は打ち切られてしまう。
・失業保険を打ち切る代わりに、事業を興す人向けの給付金が存在したが、現在では残念ながら終了。