1.育児中にもらえる給付金
出産した後は、当然次には育児が待っています。
この期間も、働きに出るというのは厳しいものがあります。
当然、育児休暇を取ることになるのですが、この期間に給料を支給してくれる会社は、一部の大企業に限られます。
それ以外の中小企業に勤める大多数の人はどうすればいいのでしょうか。
実は、雇用保険からもらえる給付金があります。
それが、「育児休業給付金」です。
支給要件は、出産関係の給付金よりも少々厳しくなっています。
細かい条件を見てみましょう。
・雇用保険の加入期間が過去2年間に1年以上ある(基準は、育児休業の開始日)
これは、失業保険をもらえる条件と同じです。
この条件を満たしていれば、育児休業給付金をもらうことができます。
もらえる金額は、休業に入る前の給与の半分~3分の2です。
育児休業が始まってから180日目までは、3分の2、それ以降は半分となります。
なお、平成26年4月1日以降に始まった育児休業の場合は上記の基準ですが、それ以前にスタートしている場合は全期間について半分になっています。
最近は少子化対策なのか、出産関係の給付金が増額傾向にあります。
なお、育児休業給付金をもらっている最中は健康保険料と厚生年金保険料が免除されるという特典つきです。
これを考え合わせると、在職中とあまり変わらない程度の収入が確保できる人も多いのではないでしょうか。
(一応、上限額はありますが)。
※育児休業給付金の上限額は286,023円、下限額は34,650円です。
そのほか、育児休暇から復帰した後に認められる権利があります。
詳しくはだれも知らない育児時間の権利をご覧ください。
これは、人事でも知らない人がいるぐらいなので、自分から持ちかけないと認められない可能性が高いです。
2.育児休暇をとった直後に退職
1.で、育児休業給付金を受給する条件が「失業保険をもらえる条件と同じ」であることをお話しました。
なぜ、このような条件になっているのかというと、育児休業給付金は、「擬似的に会社を辞めた扱いにして給付金を支給する」制度だからです。
こうなると、育児休業給付金をもらった直後に会社を辞めてしまうと、失業保険はもらえないのではないか?という不安になる人もいると思います。
しかし、その心配は不要です。
育児休業給付金をもらいきった直後に会社を辞めたとしても、失業保険はしっかり支給されます。
この場合も少し失業保険に詳しい人は不安が残るかも知れません。
「失業保険は、『退職直前6ヶ月の給与が基準』なんですよね?休業していたから、給料がないんですけど・・・」
この点についても、心配される必要はありません。
育児休業をとった直後に会社を辞めた場合は、「育児休暇に入る直前半年の給与」を失業保険の日額計算の基準に使うからです。
この特例が適用されなくなるのは、職場に復帰後、半年以上経過した場合です。
もし、復職後に「無理な仕事をさせられないから」といって配置転換されて給与もごっそり減ってしまった場合を考えてみましょう。
こういった場合であっても、退職が復帰の半年以内なら以前の給与水準で失業保険がもらえるのです。
妊娠・出産・育児の過程では、遠回しに辞めさせようとしてくる会社がまだまだ多いのが現実です。
そういった扱いに腹を立てて退職する人も多いのですが、辞めるにしても引き出せるだけのものを引き出してから退職するようにしましょう。
挑発に乗ってすぐに辞めてしまうのは非常にもったいないことなのです。
3.まとめ
・育児中の会社から給与が出ない場合、雇用保険から給付金をもらうことが可能。
・もらえる金額は、育児休暇に入る直前の給与の半分~3分の2の水準。
・育児休暇で給付金を受給している最中は、健康保険料と厚生年金保険料も免除されるので利用しない手はない。
・育児休暇をとった直後に会社を辞めても、失業保険を受給することができる。