1.雇用保険ってアルバイトで入るときに何の手続きも無ければ無いものと思っていいですか
雇用保険については、
Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイトでも
沢山の質問と回答が見つかります。
し・か・し。
適当な回答や、
法改正で古くなってしまった回答も
少なくありません。
今回から、そういったQ&Aサイトを
ぶった切っていきます。
というと威勢がいいのですが、
単に間違っている部分、
表現が誤解を招きやすい部分を
勝手に訂正していくだけです。
第1回目は、「とれまが知恵袋」から。
Q.雇用保険ってアルバイトで入るときに
何の手続きも無ければ
無いものと思っていいですか?
こちらの質問に対する答えが、
次のようなものでした。
1.パートアルバイトといった
雇用形態に関係なく、
加入を「申請」すれば
雇い主は加入を拒めない
2.加入を希望したことを解雇されるなど、
不当な扱いを受けたら弁護士へ相談を
2.についてはいいでしょう。
1.ですが、少し誤解を招く部分が
ありますので訂正したいと思います。
加入を「申請」すれば
雇い主は加入を拒めない
とありますが、申請は必要ありません。
雇用保険の加入条件を満たしていれば、
申請する・しないに関係なく、
雇用保険は強制加入です。
申請が必要条件だと、社長から
「君はアルバイトなので、
雇用保険の加入は不要だよな!な?」
と迫られたら、気が弱い人は
申請を取りやめさせられてしまいます。
この場合、雇用保険無加入で
働くはめになってしまいます。
このように、Q&Aサイトは
結構間違っている回答が
そのまま残っていますので、
書かれていることを鵜呑みにして
行動するのは危険が伴います。
関連記事:
アルバイトをかけもちしたら、雇用保険には加入しなくていいのか?
2.アルバイトは雇用保険に加入しない、の勘違いはどこから?
1.で見たように、
アルバイトだと、雇用保険には加入しない
と思い込んでいる人は、
今でも相当な数に上ります。
会社側でも、
アルバイト=雇用保険は加入させない
と思い込んでいるところは少なくありません。
中には、分かっていてとぼけている、
より悪質な会社もあります。
さて、このアルバイト=雇用保険加入不要
という「常識」はなぜ定着したのでしょうか?
昔は、アルバイトといえば学生がやるものでした。
学生は、雇用保険に加入することはありません。
本文が学業であり、アルバイトを辞めても、
生活に困ることはないだろう、
という扱いだったからです。
(夜間学生は別)
現在では、こうした状況も変化し、
アルバイトで生計を立てている人の数は
増える一方になっています。
こういった人たちは、
アルバイトを辞めて失業保険が出ないと、
かなり早い段階で生活に
行き詰まってしまうのです。
また、法改正も影響しています。
一昔前までは、雇用保険の加入条件に
「1年以上の継続雇用が見込まれる」
というものがあったのです。
しかし、アルバイトで、
初めから「1年以上働くことがほぼ確実」
などという人は滅多にいませんでした。
求人募集でも、
「長期(6ヶ月以上)働ける方募集」
などと求人広告を出していたくらいで、
アルバイトは数ヶ月単位で
入れ替わる認識だったのです。
こういう状況であれば、
雇用保険に加入することはありません。
1年以上、継続して働く人が少ないからです。
一方、現在ではどうなったかというと、
雇用保険の加入条件が
「31日以上の継続雇用の見込み」
に変化しました。
これだと、単発バイトや、
最初から終了時期が決まっている
短期バイト以外は、ほぼ該当します。
このため、雇用保険加入対象者が
大きく拡大しました。
しかし、雇う側の認識は、
時代の変化にさっぱり追いついていません。
このため、
「本当な雇用保険に加入できるアルバイト」
の人が、
「アルバイトは雇用保険なしで当然」
と未だに信じて、
不利な条件で仕事をしています。