退職金と所得税・住民税

1.退職金と所得税・住民税

この項では、

退職金にかかる所得税について解説します。

 

退職金は、

まとまったお金が手に入る滅多にない機会です。

まとまったお金
まとまったお金を得る機会は滅多にありません

最近では退職金制度がない会社も多いですから、

もらえたらそれだけでも

恵まれている部類かも知れません。

 

さて、待望の退職金ですが、

その全額を使えるわけではありません。

退職金にも、所得税と住民税がかかってくるからです。

 

前に、退職後の収入は

確定申告が必要と書きました。

では、退職金に関しても

確定申告が必要なのでしょうか?

 

これは、ケースバイケースです。

 

退職前に

「退職所得の受給に関する申告書」

を会社に提出している場合は、

退職金に関しては確定申告は不要です。

 

この場合、税金がかからないというわけではなく、

単に会社が所得税の納付を代行しているだけですが、

確定申告の手間はかからないのです。

 

提出していない場合。

 

退職金に関しても確定申告しなければなりません。

確定申告
確定申告が必要な場合、早めに準備しましょう

退職金に関しては、

退職金単独で確定申告します(分離課税)。

 

次に、退職金の所得税の計算方法をみていきましょう。

 

まず退職金から退職所得控除額を差し引きます。

その額の2分の1が退職金所得金額です。

 

退職所得金額に、税率をかけて出てきた金額が、

税額になります。

 

退職所得金額に応じて税率は変わります。

 

退職所得控除額は、勤続年数によって変化します。

 

この勤続年数は、

1年未満は切り上げという扱いになります。

 

例えば、19年と5カ月であれば、

20年で控除額を計算します。

 

控除額は多い方が

最終的に支払う税金は少なくなりますから、

20年ぴったりで辞めるよりは、

20年と1ヶ月勤務した方がお得、ということになります。

 

最後に、退職金の住民税について

簡単に説明しておきます。

 

退職金から退職所得控除額を差し引いた金額を基に、

「退職所得に係る道府県民税及び市町村民税の特別徴収税額表」

で該当する額が退職金にかかる住民税額となります。


退職後の所得税に関しては、別記事

退職後の税金・確定申告の手順

も参考にされてください。


 

2. 退職後の住民税

今回は、退職後の住民税について見ていきましょう。

 

会社勤め中の住民税は、

6月から5月が一期間になっています。

 

変わった区切りですが、これには理由があります。

会社の経理が給与支払報告書を

1月末までに役場に提出した後、

各自治体はそれに基づいた税額計算をして、

5月上旬までに会社に報告するスケジュール

で動いているからです。

 

手続きは、会社任せです。

給与から天引きしたものを

会社が代わりに納付してくれています。

 

この手続きは、特別徴収と呼ばれ、

この制度のおかげで、

少なくとも会社勤め中は

住民税の納税について

頭を悩ませる必要がなくなっているのです。

 

さて、退職後の住民税は

どのような流れで納付していくのかを見ていきます。

 

退職日が1月から5月の間なら、

5月までの住民税を一括で天引きされてしまいます。

 

退職日が6月から12月の間なら、

住んでいる住所を管轄する自治体から、

住民税の納付書が送られてきます。

 

送付された納付書に従って

住民税を納めていく流れになります。

 

納期は、年4回。

 

それぞれの期日までに納付することになります。

(期日は、納付書に書かれています)

 

「いちいち、自分で納税しに行くのは面倒くさい・・・」

という場合は、仮に6月から12月の間に退職しても、

給与から住民税の残額を

一括で納付することも認められています。

 

希望される場合は、会社に相談されてみてください。

 

なお、住民税は、

退職後に重くのしかかってくる負担です。

 

住民税は、

前年の1月から12月の所得に対して課税されるので、

収入が落ちた場合は

かなりの負担感を感じる人が多いでしょう。

住民税
住民税のあまりの金額に呆然

退職後の資金繰り計画を立てるときは、

住民税についても

考慮に入れておく必要があります。