雇用保険

1.雇用保険

この記事では、

雇用保険の全体像をざっと見てみましょう。

社員を雇用している会社は、

雇用保険に必ず加入する義務があります。

雇用保険
雇用保険もややこしい・・・

会社を辞める前は、

雇用保険について意識することは

ほとんどないと思います。

 

せいぜい、給与明細を見て

雇用保険料がいくらか天引きされているのを見たときに

思い出す程度でしょう。


雇用保険料については、

失業保険をもらうには雇用保険に加入

をご覧ください。


 

しかし、

「必ず加入させる」保険ということは、

それだけ重要な制度であることを意味します。

 

雇用保険の役割は下記のようなものです。

1.労働者が失業し、収入がなくなった場合

2.労働者がスキルアップを目的に自発的意思で教育訓練を受けた場合

3.育児や介護などが原因で会社を体業することで

生活や雇用の安定を図る

 

これらの場合に、

雇用保険の各種手当てを支給します。

 

こうした直接的に労働者の目に触れる事業以外にも、

失業の予防、雇用機会の増大、

労働者の能力向上や福祉増進に資すること

を目的とした事業も併せて実施しています。

このように、

雇用保険はさまざまな事業を行なっています。

 

余談ですが、

なぜ「社員」ではなく「労働者」となっているかというと、

雇用保険は法人化されていない個人事業主に

雇用されている場合でも加入対象となっているからです。

個人商店
個人商店で働いても、雇用保険には加入します

さて、雇用保険に入っている加入者を

雇用保険「被」保険者といいます。

 

この雇用保険被保険者は、

下記の4種類に分類されます。

1.一般被保険者

2.高年齢継続被保険者

3.短期雇用特例被保険者

4.日雇労働被保険

週の労働時間が20時間以上の人で

31日以上の雇用見込みがある場合は、

一般被保険者となります。

 

以前は、「1年以上雇用の見込み」

という制限があったのですが

数年前に派遣切りが社会問題化したときに

法改正がされました。

 

高年齢継続被保険者とは、

65歳を超えている人を指します。

 

短期雇用特例被保険者は、

季節的に雇用される人です。

 

また、日雇労働被保険者は日雇労働者のうち、

一定の条件を満たす人のことです。

 

2.失業保険受給条件

「退職したので、しばらく失業保険でしのぐ」

よく聞く言葉ですが、

実はこの失業保険、

誰でももらえるものではありません。

 

こういった何気ない会話に出てくる「失業保険」は、

実は正式な名称ではありません。

正式名称は「失業等給付の基本手当」です。

 

ただ、昔は失業保険が正式名称でしたので

そのままの呼び名が一般的にも定着したままです。

 

さて、次にこの

失業保険をもらえる条件

について見ていきましょう。

失業保険
辞めたら失業保険もらえる・・・とは限らない

雇用保険に加入していた人が

会社を辞めた後に失業保険を受給するためには、

次のふたつの条件を満たしていなければなりません。

1.退職日以前2年間に、

雇用保険に通算6カ月以上(会社都合退職の場合)

あるいは12ヶ月以上入っていたこと

 

2.働く意思と能力の両方があること

 

これらの条件を共に満たしていない人には、

失業保険は支給されません。

 

言い換えると、「すぐに働ける状態にない人」

・・・つまり就労できないほどの重い病気、
妊娠中の人は対象外になります。

 

もちろん、病気であっても就労可能な状態であれば、

失業保険を受給することには何の問題もありません。

 

仮に、「病気で業務に堪えられない」という理由で

前の会社を辞めていたとしても、

病気が影響しない程度の強度の労働が可能であれば

「すぐに働ける状態」であるといえるからです。

 

「病気だから、絶対に失業保険は出ない」

ということではありませんので

ここは誤解されないように注意してください。

 

妊娠の場合も同様です。

例えば重い荷物を持ち運んだりする仕事であれば

妊娠中には行うのは危険ですが、

事務職であれば労働可能な時期は

それよりもずっと長くなります。

 

このように、

「前の仕事に堪えられなくなって辞めた」

場合であっても必ずしも

失業保険をもらえないわけではありません。

 

職種を変更すれば就労可能な状態であれば、

失業保険の受給資格は十分にあるのです。

 

3.まとめ

・雇用保険加入者には

「一般被保険者」「高年齢継続被保険者」

「短期雇用特例被保険者」「日雇労働被保険」

があり、それぞれ取り扱いが異なる

・失業保険は必ずもらえるわけではない。

受給条件をあらかじめ確認しておきたい。