1.退職金はいくらもらえる?いつもらえる?
会社を辞めたら、失業保険と並んで頼りになるのは退職金!
・・・ちょっと待って下さい。
退職金というのは、退職しさえすれば、必ずもらえるという類いのお金ではありません。
会社の制度によっては、会社は社員に退職金を払う義務はありません。
例えば、退職金制度そのものがなかったり、「退職金は勤務3年以上の退職者に支給する」となっているのに2年で退職したような場合です。
退職金は、会社に「退職金を払う」という規程があって初めて、堂々ともらうことができるのです。
では、あなたが会社を辞めた場合、退職金は出るのでしょうか?
それを調べてみましょう。
まず第一にチェックすべきは就業規則です。
退職金の項目があるかどうかを確認してください。
書かれていれば、退職金制度自体はあると考えて間違いありません。
詳細は退職金規程など、別に規程されていることが多いので、退職金規程の内容を確認しましょう。
退職金規程があれば、あなたが退職金をもらえる対象なのか?もらえる金額はいくらか?いつ支給されるのか?を予測することができます。
1.支給対象
どのような条件を満たした退職者に支払われるか。
嘱託社員やアルバイトなど、非正規雇用の場合は対象外となっている会社が多いです。
2.支給日
退職後何日以内に支払わなければならないかも、退職金規程に明記されています。
3.支給額 退職金の算出基準
これは会社によりバラバラです。
退職時点の給与に勤務年数の係数をかける・・・といった計算方法や、給与など関係なく、単に勤続年数で決めている会社もあります。
4.支給要件
一定年数の勤続年数が必要になる会社もあります。
例えば、勤続3年以上の退職者に限り支給されるといった会社は多く見られます。
悪質な会社だと、
「退職金をもらう権利を放棄される」
という手口を使ってきます。
この仕掛けにひっかかったら、本来もらえた退職金を
「合法的に」
取り上げられます。
その手口は、以前書いた記事
でご確認ください。
2.未払い賃金
退職とはかなり違いますが、勤めていた会社が倒産してしまい、賃金が支払われない場合、人によっては生活に行き詰まってしまいます。
本人の責任でもない会社の倒産で生活が破綻してしまうというのは、あまりにも理不尽です。
そこで、国が救済制度を用意しています。
支払われていない給与の一部を、国が立て替え払いしてくれるのです。
今回は、その制度を見ていきましょう。
下記の要件に該当すれば、「賃金の支払の確保等に関する法律」により、国に未払い賃金の立替払いを求めることが可能です。
「未払い賃金といっても、会社が倒産したので退職金も欲しいんですが・・・」
ご安心ください。この制度で保護される賃金の内訳には、退職金も含まれます。
立替払いの対象となるのは、未払賃金のうち80%に相当する額です。
しかし、これはあくまでも最高額です。
実際は年齢によって上限額が決められていて、まだ若い場合(30歳未満)だと、ごく少額で上限にひっかかってしまいます。
具体的には、下記のような制限がかかっています。
45歳以上・・・未払い上限額370万円、立替限度額296万円
30歳以上45歳未満・・・未払い上限額220万円、立替限度額176万円
30歳未満・・・未払い上限額110万円、立替限度額88万円
給与が数ヶ月間未払いだと辞めていく人が多いのでほとんど立て替えてもらえそうな気がしますが、実際には退職金もありますので上限額でカットされることも多いでしょう。
立替払いの要件は下記のようになっています。
●立替払いの要件
1.労災保険に1年以上加入している事業所の労働者であること
2.次のいずれかの倒産により退職した労働者であること
(1)破産の宣告を受けた場合
(2)特別精算開始の命令を受けた場合
(3)整理開始の命令を受けた場合
(4)民事再生手続きの決定があった場合
(5)会社更生手続き開始の決定があつた場合
(6)中小企業事業主が労働者の賃金を支払うことができない状態になったものとして、労働基準監督署長の認定があった場合
3.倒産した6カ月前の日から2年以内に退職した労働者であり、支払いの賃金があること
3.まとめ
・退職金の支払いは、実は会社の義務ではない。必ずもらえると思い込まない
・就業規則に明記してあって、初めて「退職金をもらう」理由ができる
・正社員、パートアルバイトなどの就業形態や勤務年数によって、退職金の額は大きく変動するのが一般的。退職前に金額を確認しておこう
・会社が賃金を支払わずに倒産した場合、国の制度によって未払い賃金を立て替えてもらうことができる。