1.挨拶状の書き方
退職スケジュールで見たとおり、会社を辞めるにあたっては、後任者を連れて取引先に挨拶回りすることが常識になっています。
いきなり見たこともない担当者が「このたび引き継がせていただきました」と来訪しても、取引先としては戸惑うだけです。
また、こちらが仕事をもらっている立場だった場合、すでに書いたように他の業者に乗り換えられてしまう可能性も少なくありません。
長年いっしょに仕事をしてきた相手だからと、切り捨てることがしづらくて発注を続けているだけで、実は同業他社が仕事を奪おうと安い金額を提示していることも多いのです。
そうした事態を避けるためには、退職前にできる限り後任者を売り込んでおく必要があります。
「そんなのは後任者本人の責任だろう」
という意見はごもっともですが、一応できる限りのことはしてから退職するのがお勧めです。
挨拶回りのタイミングなど、基本的な知識は、別の記事
をご覧ください。
しかし、取引先が多い場合や、後任者との時間調整がうまくつかないという場合も当然あります。
そのような場合は、挨拶回りに行けず仕舞いの取引先が複数残ってしまうことになります。
挨拶回りに行けなかった取引先へ退職をお知らせするためには、挨拶状を有効利用しましょう。
また、同じ業界内で転職する人はしっかりとした挨拶を行っておくことで転職先でもその取引先のお世話になることが期待できます(前の会社は嫌がるでしょうが)。
異なる業界に転職する場合であっても、その会社の担当者が転職や独立するなどでまたいっしょに仕事を行う可能性もあります。
そこまで直接的でなくとも、仕事をいい加減に流して逃げるのは好ましくありません。
どこで人の噂に自分の名前と行動が上るか分からないからです。
挨拶回りに行けなかった取引先にも、最低限でも挨拶状だけは送付しておくのがお勧めです。
2.挨拶状の書き方 まとめ
それでは、挨拶上の書き方を具体的に見ていきましょう。
挨拶状を書くときに気をつけるポイントは下記のようになります。
・パソコンで作成し、印刷する形で構いません。
・手書きで作成し、それをコピーする人も多くおられます。
・「拝啓」ではじまり「敬具」で終わる一般的な手紙の書式を用います。
・挨拶回りに伺えなかったこと、手紙での挨拶になることをお詫びします。
・相手への感謝の気持ちを表します。
・特にお世話になった方、退職後もつきあいを続けていきたい人には、手書きで一言添えておきましょう。
以下に、挨拶状の例文を記載しておきますので確認されてみてください。
拝啓
陽春の候、皆様におかれましては、ますますご清栄のことと
お喜び申し上げます。
さて、この度私は、10年にわたり勤務いたしました株式会社山之内商事を、平成27年3月20日をもちまして円満に退職いたしました。
株式会社山之内商事在職中は、公私とも一方ならぬご厚情を賜り、10年の期間を無事勤務しえましたことは、ひとえに皆々様方のおかげと心から感謝いたしております。
転職先など、今後の身の処し方は未定ではありますが、何卒倍旧のご指導ご鞭撻を賜りたくお願い申し上げます。
失礼とは存じましたが、取り急ぎ書面をもちまして、ご通知かたがたご挨拶申し上げます。
末筆ながら、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
敬具
平成27年4月吉日
東京都練馬区●●町2-4-1
山本 和人
3.まとめ
・退職前に挨拶回りをすぐのが理想だが、行けない場合は挨拶状を活用する
・どうせ辞めるから、といい加減に投げ出すと、自分の評判を落とすことになる
・特に重要な取引相手には、手書きのメッセージを添えるとなお良い